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202208/04

家族のため、自分のため 考えておきたい相続のこと

相続の基礎知識

相続とは、お亡くなりになった方から財産を引き継ぐこと―。きっと「あたりまえだ!」と思われたでしょう。でも、ちょっと待ってください。もし、あなたがお亡くなりになった時、あなたの財産が、誰にどのように引き継がれるか、具体的に答えることはできますか?「相続人」は誰ですか? 「財産」には何がありますか? その財産はどうやって「引き継ぎ」されますか? あれれっ!? 意外とスラスラ答えられないのではないでしょうか。

お亡くなりになった人を「被相続人」といいます。「相続人」は被相続人から財産を引き継ぐ権利がある人です。民法という法律で引き継ぐ権利がある人は決まっていて、「法定相続人」といいます。

法定相続人はまず、必ず相続人になるのが配偶者です。配偶者がいないとき、もしくは配偶者と一緒に相続人となる人については順番(優先順位)が決まっています。

第1位は、「子」です子には均等に権利があり、養子と実子に区別はありません。例えば亡くなった夫に妻と子がいる場合は、妻と子が相続人となり、夫の両親や兄弟姉妹は相続人ではありません。

第2位は、「親」です被相続人に子がおらず、親がいるときは、配偶者と親が相続人です。例えば、亡くなった夫に妻と両親がいるときは、妻と両親が相続人です。夫の兄弟姉妹は相続人ではありません。

第3位は、「兄弟姉妹」です子(孫)、親(祖父母)のどちらもいないときに相続人となります兄弟姉妹には均等に権利がありますすでに死亡した兄弟姉妹がいるときは、その兄弟姉妹の子、つまり甥姪が相続人です。例えば、亡くなった夫に妻と兄、妹がいるときは、配偶者と兄、妹が相続人です。

相続する割合についても民法に定められており、「法定相続分」といいます。

法定相続分については説明したとおりですが、「相続人同士で話し合って全員の合意」のもと、どのように引き継ぐかを決めることができます。この話し合いを「遺産分割協議」といいますただし、被相続人が遺言を作成していた場合は、遺言の内容に基づいて引き継ぐことになります。

例えば、夫に妻と長男、二男がいる場合でも、夫が遺言で妻に全部引き継ぐとしていれば、妻に全部引き継ぐ権利があります。遺言がない場合は、相続人である妻と長男、二男の3人で「遺産分割協議」をして、妻が全部引き継ぐように決めることができるのです。

法定相続分は、遺産分割協議をする際の目安として考えることもできます。

相続に向けて、今できること

家族でもお互いに知らないことは多いものです。昔なら、近くの銀行や証券会社を回ればある程度財産を把握できましたが、今は違います。ネットバンク、ネット証券に暗号資産(仮想通貨)など、スマホ1つで財産管理できる時代です。郵便で数か月ごとの報告書が届いたり、年末に銀行のカレンダーをもらったりすることも少なくなっていくでしょう。実家を探しても財産を預けている金融機関等のヒントがない、スマホが開けず何を持っているか分からない、秘密鍵が分からないから暗号資産を引き継げない、ということも増えてくると思います。

元気なうちに財産を整理して、きちんと引き継いでもらう準備をしましょう。財産やパスコードを一覧表にまとめるなど、急なアクシデントが起こっても対処できるようにしてください。

現代社会では、良くも悪くも、誰もが権利を主張します。何も言わなくても子どもたちは譲り合ってくれるだろう、自分がいなくなってもお母さんのために財産を使ってくれるだろう、とはならないことも多いのです。そこで、守りたい人は誰か、守りたいもの(財産や権利)は何かを考えてみましょう

例えば、自分が亡くなった後の妻の生活が心配なら、妻の生活を守れるように対策しましょう。子どもたちがちゃんと面倒見てくれるだろうではなく、子どもたちが援助してくれなくても妻が困らないように準備しておきましょう。先祖から引き継いだ土地を代々守っていって欲しいなら、代々引き継がれるように対策しておきましょう。子どもたちが守ってくれるだろうではなく、売ることができない仕組みを作っておくことが肝心です。

自分の財産について整理でき、守りたい人やものがはっきりとしてきたなら、考えてもらいたいのが、「遺言」や「家族信託」です。

「遺言」には、公証役場で公証人が作成する公正証書遺言、ご自身で作成して保管する自筆証書遺言、自筆証書遺言を法務局で保管する自筆証書遺言書保管制度があります。

それぞれメリットとデメリットがありますが、総合的に一番おすすめなのは、公正証書遺言です遺言は何度でも作り直すことができますので、思い立ったらまずは作成してみてはいかがでしょうか。きっとご自身の死後を考える良い機会になると思います

ただ、遺言はご本人の死亡後に効力が生じるもの。ご本人が生きている間の財産管理には対応できません。近年では認知症のリスクは無視できませんから、認知症になった時のことを考えて対策したい場合は、「家族信託」が最適です家族信託では、家族など信頼できる人に財産の管理を託し、お亡くなりになった時に承継する人も定めることができるものです

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執筆者

 

司法書士・家族信託専門士・民事信託監督人協会理事
橋本雅文 (はしもとまさふみ)
所属:橋本司法書士事務所